組織を回していくエンジンの強化
大変な時代になってしまいました。
サブプライム問題をきっかけとした世界的な金融危機は1年前の株式時価総額に比べて半減し、 日本円で3,000兆円の消失だそうです。 バブル崩壊後の暗く長いトンネルの記憶が未だ残っている今の時代に再び長いトンネルにいるかと思うと 夜も眠れぬ人が大勢いるのでは...。
人の雇用は経済の成長が前提ですから、2009年は再びリストラの悲劇や現状でさえ十分とは云えない収入が ダウンするなど、労働環境の更なる悪化が発生すると云えるでしょう。
そんな厳しい時代を生き抜くためには、企業としては今以上に市場ニーズを的確に捉え、 そしてそれにスピーディーに応える努力、組織の体制作りが求められます。
さて、組織体制を整えた上で重要なカギを握るのがその組織を回していくエンジンの強化です。 このエンジンこそがリーダーシップとコミュニケーションであることは誰の目から見ても明らかです。 今の時代のエンジン強化には3つのポイントが存在します。
一つは動機付け、二つ目は部下の成熟度に合わせた指導スキル、 そして最後に権限の委譲と責任の取り方です。
最初の動機づけ
最初の動機づけですが、努力に対する期待、遂行に対する期待、
そして結果の魅力で"やる気"を捉えて考えてみましょう。
わかりやすい例を挙げますと、あなたはスポーツを終え、何か甘いものが食べたくなったとします。
しかし、周りにはお店はおろか自動販売機もありません。
ふと、目をやると、柿の木がって、鮮やかなオレンジ色の実が生っています。
飛び跳ねたところで届く高さではありません。
さあ、あなたはジャンプして柿を取ろうと頑張りますか?さすがにそうはしませんね。
すなわち、部下に与える課題の質と量は頑張ればできるか否かがポイントになります。
当人が必死に頑張れば達成できる程度を設定しましょう。
つぎに遂行に対する期待について考えてみましょう。
その柿の木はある家の庭先から伸びているものでした。
その家ではお婆ちゃんが縁側から見ているではありませんか。
努力して柿を落としたとして、果たして自分のものになるかどうか。
皆さんならどうしますか?頑張っても柿が自分のものにならなければ努力はしませんよね。
努力しても何の結果も望めないなら、部下は行動を起こしません。
結果に対しての褒賞は用意してありますか?しばらくすると縁側にいたお婆ちゃんの姿がありません。
さぁチャンスです。
すなわち、結果の褒賞に魅力を感じなければ努力は生まれません。 部下当人にとって褒賞は魅力的なものですか? こうした3つの仕掛けを再度チェックしてみましょう。
部下の成熟度に合わせた指導スキル
二つ目は、部下の成熟度に合わせた指導スキルです。
あなたは十把一絡げの指導スタイルをとっていませんか?
仕事を遂行する能力や意欲の程度は皆それぞれ異なります。
そこで個々の部下に合わせた指導方法を実行してみましょう。
能力も意欲も低い部下がいるとします。なにやら"やる気"が感じられません。
あなたは部下をヨイショしてでもその気にさせますか?
「馬を水のみ場まで連れていくことはできるが、馬に水を飲ませることはできない」との
喩えにもある通り、やる気の無い部下に水を飲ませるのは困難です。
ならば行動を起こせるに十分な指示内容を出すことで彼を動かします。
次に、やる気はあるものの、能力がまだ十分にはついていない部下がいたとします。
皆さんはどのように課題を遂行させますか?
私なら、その部下の"やる気"をさらに確実に引き出すと共に明確な指示を出すように心掛けます。
いわゆる"発問"(=答え(気づき)を導くための質問)を交えながら、
課題遂行のポイントなどを説明するのです。部下にとっては課題遂行への
意欲の確信とノウハウ取得に大きなプラスとなります。
次にそれなりに十分な力があるにも拘らず、仕事に自信がなかったり、
仕事の領域を自分で制限したりする部下がいたとします。
このような部下に対して、あなたならどのように接しますか?
この場合、彼の精神的なエネルギーを湧かせるより他に手だてがありません。
肯定のストローク行動を強化しましょう。この肯定のストロークを"仲間"と云う意識と
"期待"につなげていくことがポイントです。
TPOをわきまえた上で時々、ニックネーム(あだ名)で呼んでみてください。
きっと何らかの変化があります。
あだ名で呼ばれて、初めて仲間に入れたように気がする小中学校時代を思い出してみてください。
最後に能力も意欲も高い、いわゆるベテラン層と云うクラスが存在します。
彼らは実績もプライドもある人たちです。
そんな部下なら、課題(ミッション)を示すだけで十分です。
あとは責任者としてモニターすることが大切ですが、上司として最終的に責任を被る覚悟は持ってください。
ベテランは上司を見抜くからです。
部下は鍋の具??
ここまではモチベーションと指導方法について述べてきましたが、
彼らの活躍舞台を広げ、行動をアグレッシブにさせるためには、
明確な責任と権限および職務課題を明確にして進めることが大切です。
リストラが流行った7~8年前を思い起こしてください。
わが身の安泰を願う管理職は動きが保守的になり、
明確な意志決定や権限委譲を行うことなしに日々の仕事をしていました。
そんなケースが至るところで見られました。
その結果、変革を起こせないままズルズルと‥。
そして給料の高い自分が、ある日突然「なぜ、俺が‥」の世界です。
今の時代、もう管理職というスコア監督者は必要ありません。
リスクを背負いながら推進エンジンを回すリーダーが求められています。
あなたはこの未曾有の経済危機、どのようなリーダーシップを発揮するでしょう。
熱燗が美味しい木枯らし吹く季節、鍋の具を部下に喩えて(具に名前をつけたらどうでしょう!) 考えてみてはいかが・・・。
小林茂之プロフィール
小林茂之(こばやし・しげゆき)
株式会社アルファビート・パートナーコンサルタント
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了
日産トレーディング(株)、
(株)テンポラリーセンター(現(株)パソナ)を経て独立。
日産自動車をはじめ、民間企業、官公庁など、
コンサルティング活動や研修を行なった件数は250超。
中堅社員、管理職、経営者・経営後継者など、
幅広い層を対象とした講義経験多数。
参加者のニーズに合わせた、楽しくユニークな講義内容で
「飽きさせない講師」として高い評価を得ている。








